男女の目線の先にあるキモノ

私は常日頃から、創り手の方には「イイものを創る」という事と、後継者を育てる

という事に専念してもらいたいと思っています。そして、それができる環境を整え

創っていくのが私の使命であると考えています。

で、そんなお話を先日ある作家さんとしていたのですが、

その作家さんがポロっと

「最近若い人が少しずつ増えてはいるけれど、女性が多いんですよね」

とおっしゃるので、

「え?女性じゃダメなんですか?」

と思わず即返。

その理由をよくよく聞いてみると、

「着物は、男性がこう言う女性になって欲しいという、憧れ、理想を表現した

ものでなければいけないから」

というお返事が返ってきました。

 

なるほど。

やはり・・・というちょっぴりの残念さとそういうお話が今でもあるのだな

という変な納得感で少し悶々。

良くも悪くもなんですが。

 

その昔、着物は男性が女性に買い与えるものであったというのは本当の話。

大きなお家の広いお座敷で、お抱えの呉服商が持参した反物を広げながら

旦那さんが色々な?女性にあれやこれや選ぶイメージですね。 

でも、今は女性が自分で、自分のために着物を選ぶ時代。

自分がイイと思ったものを、自分のために買うことが当たり前の時代。

男性が自分の思いをそのまま買い与える時代ではありません。

 

でも、「そういう考えは全く受け入れられない!」

という極端な考えに辿り着くのも、どうかと思うのですね。

だって、女性の着物姿に憧れる男性が多いのも事実なのだから。

 

結局は、いわばそういった目線で着物を選ぶ時代ではなくなっているんですね。

男性目線の着物も女性目線の着物もあって良い。

というより、あって当たり前。

その時の自分を表現するにピッタリなものを、選んで楽しむ。

それは、自分のためかも知れないし、大切な誰かのためかも知れない。

自分の日常で欠かせないエッセンスとしてどんな着物を選ぶのはその人次第。

それでこそ、着物はファッションと言えるんじゃないかと私は思います。

 

そして、現代女性の気持ちとしては、できれば着物を楽しむ自分を素敵と思って

欲しいというのが本音なんじゃないですかね。

 

 

写真は、銀座 菊廼舎さんの冨貴寄というお菓子。

色合いがとても綺麗です。

 

 

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