男目線か女目線かそれが問題?
先日ある京友禅の作家さんと後継者問題について話していた時のこと。
その作家さんがふと、
「最近若い人が少しずつ増えてはいるけれど、女性が多いんですよね。それがちょっとなぁ・・・・。」
とおっしゃるので、
「え?女性じゃダメなんですか?」
と思わず聞き返してしまいました。
その理由をよく聞いてみると
「着物は、男性がこう言う女性になって欲しいという、憧れ、理想を表現したものでなければいけないから。」
なんだそうです。
確かに着物は昔、男性が女性に買い与える(こういう表現が適切かどうかは別として)ものが多かったということを考えると、その感覚は分かる様な気がします。しかし、今や着物は女性が自分で選んで自分で買う時代。だから、女性目線での色柄でもいいし、むしろ女性が作る着物の方が若い人達には受け入れられるのではないの?とも思ったり。
そこで、ここはやっぱり本音を聞きたいと、もう少しお話を掘り下げてみる事に。
「私達の作るものはね。それを着る事で、女性の色香とか優しさみたいな女性らしさを持った人になって欲しい、というものなんです」
そうか。友禅に代表される京都のはんなり系の色、柄というのは、男性好み、男性目線での着物なんだなぁ。
「で、こちら(江戸つまり東京)のものは、色気がないでしょ?黒!とか白!とか攻撃的で」
なるほど。江戸小紋に代表される江戸東京系のキリッとした色、柄。
イメージとしては、自立した女性である事は確か。
でもそうなると、これは創り手の性別の問題ではなくて、京都 vs 江戸(東京)の問題なのではないの?
着物が欲しいと思った時、基準になるものは何か。
自分の目指すところはどこか。
おりしも先日のアメリカの大統領選。
結果は予想外のトランプ氏の激勝。
世界を揺るがす大選挙も日本の誇る伝統文化も、選ぶ基準は本質的なものであって欲しいですね。